労働社会保険の手続き

弊所では労働保険(労災・雇用保険),社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関わる手続きの書類作成代行・届出提出代行を行っております。迅速化を考慮して電子申請を行う場合があります。

◇ 労働保険・社会保険について


1.労働保険・社会保険の種類

狭い意味での社会保険は,健康保険・介護保険・厚生年金保険だけを言います。

広い意味での社会保険は,上記に労働保険の雇用保険・労災保険を含めます。

1) 健康保険

健康保険は、従業員が病気やケガをした場合に治療や療養を受けられるようにする仕組みです。適用事業所の従業員や法人の役員は協会けんぽや健康保険組合の被保険者となって、保険料を支払うことで健康保険に加入することになります。健康保険の被保険者になると病気やケガで病院にかかった際、窓口での支払いが一般に3割負担などといわれる自己負担分のみで済むようになります。健康保険の被保険者でない場合は、かかった費用の全額を支払わなければなりません。
 更に,高額医療費に対する給付や病気やけが,出産などで働くことができなくなったときの給付があります。

2) 介護保険

介護保険は、40歳以上の人が加入でき、介護保険料を納めることにより介護が必要になったときに所定の介護サービスが受けられる仕組みになっています。介護保険の被保険者は、65歳以上の人は「第1号被保険者」、40歳から64歳までの医療保険加入者は「第2号被保険者」になります。第1号被保険者は、要介護認定または要支援認定を受けた際には介護サービスを受けることができます。また、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病が原因で要介護認定、または要支援認定を受けた際に介護サービスを受けることができます。

3) 厚生年金保険

厚生年金保険は、従業員の将来や障害などの備えとなる公的年金制度です。健康保険と同じように被保険者となって保険料を支払うことで、老齢になったときに受け取れる年金額を増やしたり、障害を負った場合に厚生年金から年金受給ができるようにしたりします。

 ※ 健康保険や厚生年金保険の加入要件:被用者で,主に週30時間以上(大企業では週20時間以上)雇用される方。健康保険は75歳未満,厚生年金保険は70歳未満の方。
 ※ 加入対象となる方の範囲は法律で決められているので,個人の希望により加入したり脱退したりできるものではありません。
 ※ 国民健康保険との違い
 会社員や公務員は勤め先で社会保険に加入しますが、勤め人ではない自営業者などは健康保険や厚生年金保険には加入できません。自営業者などが加入する公的医療保険が国民健康保険で,市区町村kの窓口で手続きを行います。自営業者をはじめとして学生、職業に就いていない人など、会社員や公務員など勤め先で健康保険に加入していない人全員に加入義務があります。
 保険料は全額が被保険者負担となること、扶養という概念がありません。

4) 雇用保険

労働者の生活の安定や雇用の安定、就業機会の拡大などを目的に、
主に失業や育児などで働くことができなくなり給料が得られなくなった労働者に対して給付を行う保険制度です。

・失業者に対する求職者給付
・育児休業給付
・介護休業給付
などのさまざまな給付があります。

加入要件:1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあること。

保険料は会社負担分と労働者負担分に分かれます。

5) 労災保険
・業務中・通勤中におきた災害に対する補償を目的とした保険です。
・保険料額の全額が事業主負担で労働者の負担はなし。
・労働者(パート・アルバイト含む)を1人でも雇用したら加入が必要です。
・加入義務があるのは事業主です。事業主が手続きを行います。(労働者に手続きなどはありません)
・保険料額は保険給付の内容からみると保険としてはとても安いです。

2.メリット
・従業員メリット
1) 毎月の医療保険の保険料額
 → 会社が半額負担。

(例)月額給与が20万円の場合(令和5年1月1日現在の大阪府での価額/金額は毎年変更されます。また都道府県ごとに異なります。)
40歳未満で健康保険料額20440円を労使折半 → 労働者負担額 10220円
40歳以上で健康保険料額23720円を労使折半 → 労働者負担額 11860円(介護保険料額を含む)

厚生年金保険料額 366000円を労使折半 → 労働者負担額 18300円

いずれも扶養家族がいても金額は不変。

△ 国民年金保険では個人が全額負担。(金額は16590円/1人あたり/令和5年度月額は16520円)
厚生年金保険にあたる国民年金基金の保険料額は別途(契約内容による)。
国民健康保険料額は市町村ごとに異なる。

※ 20歳以上の扶養家族がいるのであれば保険料額の負担だけでも社会保険加入にメリットがある。

※ パート従業員の社保加入については注意!
 配偶者の扶養からはずれると負担が増加する場合がある。

2) 年金額・傷害保険遺族年金保険・傷病手当金出産手当金・育児休業給付などの給付

 ! 労働者側は,費用以上に安心感を求めているようです。

・会社メリット

※ 主に,人材確保・人手不足対策
!会社にとっては費用的には,経費(損金)の増加しかない。(法人の場合は保険料額しだい)

1) 募集・採用
 パートだけよりも,「パート+社員」として求人する方が応募者の幅が広がり数的にも大きくなる。
 求人票にも書きやすい。

2) 従業員の継続雇用 … 従業員の離職率が低下する。
 → 経営計画・人事配置計画を立てやすいこと。
 → 募集採用の手間・費用が減少する。
 会社業容を拡大するのであればメリットはとても大きい。

3) 従業員の雇用管理・配置など
 従業員の労働時間を週当たり30時間~40時間程度にできるので計画をたてやすい。
 ある程度の時間外労働も見込める。(36協定必要。手当が別途発生)

3.費用
・初期費用は不要。
・健康保険厚生年金保険料額は労使折半
・雇用保険料率は1.35%~1.65%(令和5年度は1.55%~1.85%)でこのうち労働者負担は0.5%~0.6%(同0.6%~0.7%)
(参考)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

・労災保険は全額会社負担。

4.手続き

※ 管轄
健康保険(介護保険含む)・厚生年金保険 … 年金事務所
雇用保険 … ハローワーク
労災保険 … 労働基準監督署

1) 労働者をはじめて雇用したとき。(詳細は下のページにて)
適用事業所の届出 + 労働者の加入の届出で

労働基準監督署 → ハローワーク → 年金事務所
の順になります。
(労働者が社会保険加入要件を満たしていない場合はハローワークまで,
労働者が雇用保険の加入要件を満たしていない場合には労働基準監督署だけ,
となります。)

2) 労働者の雇用が2回目以降のとき。
労働者の加入の届出
ハローワーク → 年金事務所
の順になります。

3) 労働者が離職したとき。
労働者の資格喪失の届出

ハローワークと年金事務所です。

※ 労働契約の変更時にも資格取得・喪失の手続きが必要な場合があります。

4) 1年に1回の届出
・労働保険の年度更新
・社会保険の算定基礎届

5) 随時
・産休育休の届出
 年金事務所 + ハローワーク

・傷病等による休業
 健康保険協会

6) 保険料の納付について

a.労災保険と雇用保険 : 銀行からの振り込み
 労働保険関係成立時
 労働保険関係終了時(会社で雇用する労働者が0人なったとき)
 それ以外は毎年1回(6月1日~7月10日)

雇用保険料の労働者負担分は毎月の給与から控除して会社で預り金としておく。

b.健康保険(介護保険含む)と厚生年金保険

毎月の労働者負担分の保険料を給与から控除し,翌月に会社負担分と合わせた額を銀行から振り込み。
振込用紙(納付書)は年金事務所から送られて来ます。








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