就業規則・36協定等 社内規定

会社の運営のためには,必ず最低限の仕組みは整えておかなければいけませんし,それがなければ,必ずトラブルになります。

就業規則を整備するということは,単に業務マニュアルのような仕組みを列挙したというだけではなく,業務を効率よく進めながらトラブルを防止できる効果があるのです。

すでに就業規則をお持ちの事業所様でも近年は毎年のように法改正が行われています。法令の変更にあわせて十分なメンテナンスをお勧めします。


1. 就業規則とは?

労働条件や服務規律等といった就業上のルールは、すべて就業規則に該当します。

名称の如何を問いません。「給与規程」「退職金規程」「育児介護休業規程」等、別規程として定めたものも就業規則の一部として取り扱われます。

2. 作成・届出義務

​「常時10人以上の労働者を使用する」場合、就業規則を定めて所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。「常時10人以上」とは、「常態として」10人以上の労働者を使用しているという意味です。ですから,繁忙期など一時的に10人以上となる場合は該当しませんが,社員が頻繁に入社したり退職したりしていても、常に10人以上いる場合は該当します。

年度更新などの常時雇用する労働者の数などが目安になります。

 さらにこの「10人以上」には、契約社員、パートタイマー等といった雇用形態が異なる労働者であっても、常時使用されている限りあわせて計算する必要があります。ただし、派遣労働者は含めません。派遣元の労働者として人数に数えます。

(注)作成・変更・届出義務に関する違反は、30万円以下の罰金に処せられる場合があります。

 10人未満の事業所では,「就業規則に準ずるもの」という書き方になっています。ただ,助成金などを利用するにあたっては就業規則が必要になる場合がほとんどですので,将来を見越して就業規則を作成しておく方がお勧めです。

​3. 届出の期間

​ 従業数が概ね10以上の事業所で就業規則を作成した場合、もしくはすでにある就業規則を変更した場合、その就業規則を「遅滞なく」所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 具体的に「何日以内」という形では定められていませんが、施行してから常識的な範囲の期間内に届け出る必要があります。


4.届出の単位

​ 事業所ごとですから,支社・支店があれば,本来はその支社・支店ごとに就業規則を作成することになります。ただ,それでは管轄の労働基準監督署が異なる場合にそれぞれの労働基準監督署に提出することになってしまいます。さすがに無駄が多いので,就業規則の内容が本社と支社・支店で全く同じでその所在地・連絡先だけ異なる,という場合にはその支社・支店の分をまとめて本社で一括して提出することができます。

​ ただし、出張所、支所等で、規模が著しく小さく組織的関連ないし事務能力等を勘案して一の事業という程度の独立性のないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業としてとして取り扱うこととされています。

5.注意しておく点

​▽ 親会社や他社の就業規則をほとんどそのまま流用する形で使用しているような場合,

そのままでは,残業や賃金規定に不都合が生じる場合が多くなります。

→ その場合は,不都合な部分だけ変更しましょう。

▽ 会社規模が大きくない場合,

会社の業務内容にあわせたコンパクトなもので十分です。

 

6.就業規則作成に関わるポイント

以下の項目に当てはまるものは?

1) 正社員用とパートアルバイト用の規則を分けていますか?

2) 賞与や退職金等の規定を明確に記載していますか?

3) 昇給だけでなく,降給についての取り決めも記載していますか?

4) 懲戒の定めは具体的に記載していますか?

5) 見なし残業代(固定残業代)等の仕組みを明記してありますか?

6) 入社時の提出書類の中に,身元保証人の選任について定めてありますか?

→ 身元保証人についても状況を把握しておきましょう。

7) 内定取り消し,採用取り消しの項目を定めてありますか?

8) 退職時の引き継ぎについても定めてありますか?

9) 休職期間と復職に関する定めはありますか?

→ 休職期間満了時に退職となる場合の規定をしておきましょう。

10) マイナンバーや個人情報保護,ストレスチェックに関する規程はありますか?

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※1 就業規則は労務管理および企業運営のマニュアルとして用いられるものです。なので、就業規則が企業に合ったものでないと、円滑な労務管理を行うことが難しくなってしまいます。


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