就業規則・36協定等 社内規定

就業規則について

1.就業規則は労務管理および企業運営のマニュアルとして用いられるものです。なので、就業規則が企業に合ったものでないと、円滑な労務管理を行うことが難しくなってしまいます。



通常の業務に加え、労務に関するトラブルが起きた際にも会社を守る上で就業規則はたいへん重要なものになります。ここでは円滑な労務管理が行えるよう、就業規則を作成・改定する際のポイントをご紹介します。



◇ 現場に合った就業規則に

企業は日々効率化を考え、業務体制も変化し続けています。そうした変化に伴い、就業規則を変更する必要が出てくることも少なくありません。常に現場の労務管理がスムーズに行えるよう定期的に就業規則を見直し、適正な状態が保てるようにしましょう。


 ◇ 事業主がまずきちんと理解する。従業員にきちんと理解させる。
就業規則を作成する際、「労働基準監督署に提出するためのもの」として作るのでは意味がありません。労務管理を行う事業主がしっかり就業規則を理解し、従業員への周知を行うことが必要です。
企業で働く人たちが理解してこそ円滑な労務管理に繋がります。

相互理解がきちんと行えるよう、表現方法や言葉使いに一貫性を持たせるようにすることも大切です。
解釈の違いは混乱を招いてしまいます。解雇・懲戒・減給に関する記述や賞与・退職金などに関する記述などは特にトラブルに繋がりやすいので気をつけるようにしましょう。




 ◇ 法令を反映させる

労務管理に関する法令はいくつもあり、時代に合わせて改正も行われます。最近では育児介護休業法が改定施行されました。
雇用する職員が増えれば就業規則に盛り込まなくてはいけない法令も増えていきます。
法令を正しく理解し、変更される度に新しい情報を得るのはなかなか難しいものです。
最新の情報・多くの知識ををご活用いただくことで、正しく法令が反映され、円滑な労務管理が行える就業規則の作成・改定が行えます。


2.就業規則は企業を運営していくにあたりとても大切なものです。こちらでは、就業規則作成の際に注意するべきことをご紹介します。就業規則は企業の事情に合ったものでないと、何かあった際にトラブルに発展してしまう可能性が高いので、十分注意して作成する必要があります。

 ◇ 労働基準監督署の就業規則ひな形を使用すれば問題ない? 就業規則作成を自分で行う際、労働基準監督署に置いてある就業規則ひな形を参考に作成してみようと思われる方もいるかと思います。ひな形には就業規則の規定例が載っており、「労働基準監督署が作っているものだから間違いないだろう」と思われるかもしれませんが、労働基準監督署は労働基準法や労働安全衛生法が、きちんと守られているかチェックする機関です。


 当然、そのひな形は各企業に最適化されたものではありません。労働時間も休日も会社ごとにことなります。ましてや残業などは同じ会社でも担当するお仕事ごとにかわってきます。

 ひな形をそのまま使用すると場合によっては企業側が著しく不利になることもあります。もちろん法律を守ることは必要ですが、企業も従業員も双方が納得できる就業規則を作成しようとお考えなら、労働基準監督署の就業規則ひな形をそのまま使用することはおすすめできません。

 実際には,就業規則中に法令違反がある状態で労働基準監督署に就業規則を提出してもそのまま受け取ってもらえます。しかし,受け取ってもらえたというのはね法的にお墨付きをもらったということではなく,提出義務があるものから提出してもらった,ということだけを意味します。
 なので,あとから労働者に法令違反だ,と訴えられたら当然に事業主がその責任を問われます。

 ◇ 就業規則の作成マニュアル本は参考になるか? 書店には、社労士や弁護士が書いた就業規則作成のマニュアル本が売られています。これを参考に自分で就業規則を作成してみようという方もいるかもしれません。
本の内容は労働基準監督署の雛形より企業寄りの内容となっておりより実践的ですから,もちろん参考になります。それでもすべて真似をして作れるものではありません。

 なぜなら、企業によって業種や規模が違えば労働内容、労働時間、賃金制度などが異なるためです。本の内容は参考になりますが、そこから自分の会社に合わせて作成するのはなかなか難しいものです。



3.時間外労働(いわゆる残業について)
 仕事が忙しく通常の就業時間中に終わらなかった分を残業するというのは、仕方のないことです。
 残って仕事をしてくれるというのは会社にとってありがたいことでもありますが、残業代がかさんでしまうと経費が圧迫されてしまいます。

 また残業代を目当てに、無駄な残業を行われても困ります。通常の就業時間内に終わるように仕事の予定を組んだり、効率良く業務を行う仕組みを作ったり、無駄な残業をさせないようにしたりすることが必要になります。残業対策をする際は、就業規則作成時に残業対策を行うことをおすすめします。



◇ 交替制・シフト制を導入する

 残業代を払わなくてはならなくなる場合は、法定労働時間である1日8時間(1週40時間)の枠を超えた場合です。そのため就業規則作成において残業対策をする際は、この枠におさまるような仕組みを考える必要があります。その仕組みとして、交代制・シフト制を利用することができます。

 病院や工場、コンビニなどの小売りのように長時間稼働させる場合がある仕事では、一人を長時間働かせるのではなく時間をずらしたシフトを組み、交代で働く仕組みを作ります。
 また、同じ会社でも業種によって忙しい時間が異なるでしょう。そうした場合、会社全体で就業時間を決めてしまうのではなく、その仕事に合ったシフトを組めるよう就業時間の規定を作成する必要があるでしょう。



 ◇ 残業を許可制にする

 社員の好きなように残業ができるような体制をとってしまっていると、本当にその残業が必要なのか、仕事が忙しくて残業になっているのか本人の能力が劣っていて残業になっているのかなど把握できません。そこで取り入れたい残業対策は、残業は”業務命令”なのだから,残業を申請の上での許可制にすることです。残業を行う際、従業員は必ず申請書を提出することを就業規則に記載し、上司が許可した時にだけ残業が認められるようにします。
 従業員が勝手に残って残業しているのを知っているのに会社が従業員に注意・指導をして帰宅させなければ黙認したことになり,残業代は支給しなければいけなくなります。残業代未払いの訴訟はこのような場合が多く,ほとんどの場合,会社側の主張は認められていません。


 「残業をする理由」「残業で行う業務内容」「その業務をこなすのに必要と考えられる見込みの時間」は必ず記載させるようにします。「申請書を出せばいくらでも残業できる」といった勘違いを防ぐのにも役立ちますし,就業規則等の規定を有名無実化させるのを防ぐことになります。
 更に、実際に残業をさせる場合には、あらかじめ労働者代表との書面による協定を結び、労働基準監督署に届出なければなりません(36協定といいます)。




(参考)就業規則作成リーフレット(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-4.pdf


by 田村博社会保険労務士事務所@大阪,豊中吹田,千里中央

 大阪商工会議所・吹田商工会議所・堺商工会議所
 大阪産業局産業創造館・ひょうご産業活性化センター・堺市産業振興センター  等 登録専門家

  大阪・兵庫・京都を中心に人事制度設計・労務管理・就業規則作成・給与計算代行・助成金の相談や社会保険手続き代行などをサポートしています。
 無駄な残業はさせない。就業時間中はきちっと働いてもらう。など,人事・労務のご相談をお受けしています。

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